メモリーチップにデータの読み書きを行うSSDは、電気的なデータ処理を行うことで処理速度が高速化されるため、HDDよりも快適な作業が可能になります。そのため、最近ではSSD搭載のパソコンが数多く販売されており、これまでHDDを利用されていた方の中にはSSDへと換装される方も増えてきています。
そんな性能の高い記憶装置ですが、使い続けることでいずれは故障する消耗品なので、寿命を迎えるとさまざまなトラブルが発生してしまいます。そこで気になるのが機器の寿命ですが、どれ程の年数であれば正常に使い続けることができるのでしょうか?
この記事ではSSDの平均寿命について紹介していきます。寿命を決めるポイントや寿命を迎えた際に現れる症状、寿命を延ばす方法なども解説しているので、ぜひ参考にしてお使いの記憶装置を長く使用できる状態にしてみてください。
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SSDの寿命はおよそ5年
SSDをはじめとする記憶装置には寿命があり、いずれは故障してしまう消耗品です。しかし、同じSSDでもその全てが同じ寿命ではなく、使用頻度によって寿命が決まると言われています。
平均寿命を知っておくと故障前に対策を取ることができますし、寿命を決めるポイントを知ることで長く使用することができるようになります。
SSDの寿命には諸説ありますが、一般的な平均寿命は5年程度だと言われています。しかし、使い方によってバラつきがあるので、場合によっては5年未満で故障することもあれば寿命以上に使い続けることができる場合もあります。
また、メーカーの保証期間を目安にした考え方もあります。メーカーによって保証期間は1年間であったり5年間であったりとさまざまなので、突然の不具合や急な故障などを考えるなら、保証期間の長いメーカーの製品を利用すると良いかもしれません。
SSDの寿命が決まるポイント
平均寿命は5年程度ですが、実際の寿命は使用頻度などの要因で変わると言われています。それでは、寿命を決める具体的なポイントについて詳しく見ていきましょう。
データの書き込み回数
SSDは電気的なデータ処理を行うため、回転する円盤型のディスクにデータの読み書きを物理的に行うHDDに比べて寿命は長く設定されています。しかし、そんなSSDでもデータの読み書きを行う回数が増えれば増えるほど劣化していくため、寿命が短くなってしまいます。
ちなみに、データの読み書き回数に対する耐久性は製品によって異なり、「TBW」という数値が大きなものほど寿命が長いと言われています。頻繁に利用されるのであれば購入時にTBWの数値が大きなものを選んでおくと長く使用することができるでしょう。
SSDの空き容量
空き容量の少ない状態での使用は寿命を短くする原因になってしまいます。というのも、十分な空き容量がない状態でデータの書き込みを行うと、以前のデータを削除して内部でデータの位置整理が行われるからです。
この位置整理が頻繁に行われると寿命を縮めてしまうことになり、故障に繋がってしまいます。大量のデータを保存している方は一度空き容量を確認してみると良いでしょう。
SSDの稼働時間
使用時間が長ければ長いほど、SSDの寿命が短くなってしまいます。基本的に通電している状態が長くなるほど内部機器が劣化していくので、毎日長時間の使用をされている場合は平均寿命に比べて短い期間で故障してしまう可能性が高いです。
SSDの種類やスペック
SSDには記憶素子レベルセルと呼ばれるものが4種類あり、それぞれで耐久性が異なります。価格が高く容量の小さなものほど耐久性が高いと言われていますが、一般的に使用されているのはTLC(トリプルレベルセル)と呼ばれる耐久性のやや低いものである場合が多いです。
使用している環境
高温や0度以下の低温環境など、SSDにとって不適切な環境で長時間使用すると劣化しやすくなります。SSDはホコリや静電気に弱く、不衛生な環境では動作不良が起こる可能性もあります。
SSDを長持ちさせるためには、適切な環境で使うことが重要です。車内など高温になりやすい場所に放置せず、ホコリや静電気を避けて使うようにしましょう。
SSDが寿命を迎えたときの症状例
SSD搭載のパソコンを買い替えたばかりの方、または外付けSSDを新しく購入した方であれば、当分は寿命を気にすることなく使用できるでしょう。しかし、数年間利用している方であればいつ寿命を迎えてもおかしくありません。
そこで、ここでは寿命を迎えたSSDに現れる症状についてまとめてみました。以下で紹介する症状に該当する方はいつ故障してもおかしくない状態である可能性が高いので、今のうちにデータのバックアップを取っておくことをおすすめします。
SSDが認識されなくなる
SSDが認識されないときは、さまざまな原因が考えられます。まずは電源やケーブルが正しく繋がれていること、破損など物理的な故障がないことを確認しましょう。
そのうえでSSDが認識されない場合は、SSDが寿命を迎えている可能性があります。SSDが認識されなくなる機会が増えたら「寿命が近い」と考え、バックアップを取っておくのがおすすめです。
処理速度が遅くなったりフリーズしたりする
「最近データの処理速度が遅くなった気がする」といった場合はすでにSSDが寿命を迎えている可能性が高いと言われています。何らかのデータファイルを開く際や新しいデータの書き込みを行う際にかかる時間が以前に比べて長く感じる場合は要注意です。
また、故障寸前の状態になると頻繁にパソコンがフリーズするといった症状が現れます。いつ故障してもおかしくない状態なので、バックアップやデータ移行などの対策を行っておくことをおすすめします。
突然電源が切れる
SSDが寿命を迎えると突然パソコンがシャットダウンするといった症状が現れることもあります。また、頻繁にシャットダウンが行われるようであればすでに故障しているかもしれないので、早めにバックアップを取っておきましょう。
他にも、シャットダウンだけでなくパソコンの電源が入らなくなるといった症状が現れた場合も故障の可能性が高いので注意が必要です。
画面が黒や青になりエラーメッセージが表示される
パソコンを起動した際に画面が黒くなる、または青くなり、「Boot Device Not Found」というエラーメッセージが表示された場合は寿命を迎えているかもしれません。これはパソコンがSSDを認識することができず、起動することができない状態を表しています。
SSDの種類
SSDは「セル」と呼ばれる部分にデータを保存しており、一つのセルに書き込める容量によって4種類に分けられます。容量が小さいほど価格が高くなり、耐久性が高くなる傾向があります。
SLC(シングルレベルセル)
SLCは一つのセルに1bitの書き込みができます。データ容量は他のSSDと比べて少ないですが、約10万回の書き込みに耐えられる耐久性を備えています。
データの読み書きのスピードが速いため、効率的にデータを保存できるのもメリットです。信頼性が高く、業務用に利用されることが多くあります。
MLC(マルチプルレベルセル)
MLCは一つのセルに2bitの書き込みができます。書き込みの上限は約1万回で、SLCより容量単価が抑えられるものの、後述するTLCやQLCよりは値段が高い傾向にあります。
TLC(トリプルレベルセル)
TLCは一つのセルに3bitの書き込みができます。書き込みの上限は約1000回です。大容量化できてSLCやMLCより低価格で購入できますが、耐久性はやや劣ります。
書き込み速度よりもデータの容量を重視する方におすすめです。
QLC(クアッドレベルセル)
QLCは一つのセルに4bitの書き込みができます。前述した3つのSSDよりも書き込み容量が多いのが特長です。QLCは低価格で購入できますが、耐久性が低いという側面もあります。信頼性よりも、SSDのコストを抑えることを重視したい方におすすめです。
SSDの寿命を延ばすためにできる6つの対策
一般的なSSDの平均寿命は5年程度だと紹介しましたが、使い方次第で寿命を長く延ばすことができます。販売価格は年々安くなっている傾向はありますが、やはりHDDに比べると高価な機器ではあるので、少しでも長く利用したいと考える方は多いはずです。
そこで、ここではSSDの寿命を延ばす効果的な4つの方法を紹介していきます。新しく購入したばかりの方、または購入を検討している方は、以下でご紹介する方法を参考にして平均寿命よりも長く使えるようにしてみてください。
データの書き込み回数を抑える
SSDは書き込み回数が上限に達すると寿命を迎えます。長持ちさせるために、書き込みの回数を抑えると上限に達するのを遅らせることができます。
SSDを長く使うためには、必要以上のデータ保存を避けるようにしましょう。
空き容量をある程度確保しておく
寿命を決めるポイントでもご紹介しましたが、メモリ容量に余裕がない状態での使用は寿命を短くしてしまいます。そのため、十分な空き容量を残す、またはメモリ容量を増やすなどの対策をすると良いでしょう。
SSDとHDDを使い分ける
使用すればするほど劣化が進むので、HDDを併用して使い分けることで寿命を延ばすことが可能となっています。1つの機器にかかる負荷を分散することができるので、平均寿命以上に活用することができるでしょう。
室温などの環境に注意する
SSDは高温多湿や低温などの環境に弱い機器なので、室内温度の調整や湿気対策を行うことで寿命を延ばすことができます。また、パソコン内には知らず知らずのうちにホコリが溜まってしまい、通電を妨げることであらゆるトラブルを招く恐れがあります。そのため、定期的な機器内部の清掃も寿命を延ばすことに繋がると言われています。
使用しない場合は電源を切る
「またすぐに使うから」と使ってもいないのにパソコンの電源を入れたままにしている方は多いのではないでしょうか?実は、このような状態でもバックグラウンド上でSSDが起動していることがあるので使っている状態となっています。作業をしないときには電源を切るようにしましょう。
SSDのデフラグを行う
デフラグとは、専用のソフトを使ってSSDのアクセス速度を上げたり寿命を延ばしたりする方法です。
SSDにデータを保存するときは、空いた領域に自動的に保存されます。データが整理整頓されていないためにセルに負担がかかり、保存を繰り返すことでSSDが劣化しやすくなります。
定期的にSSDをデフラグするとデータが整理され、SSDの負担を軽減できて劣化を防げる可能性があります。
SSDとHDDの違い
SSDとHDDはいずれも記憶媒体ですが、特長やメリット・デメリットが異なります。ここではそれぞれの違いを説明します。
SSD(ソリッドステートドライブ)
SSDは内蔵されたメモリチップにデータを記録します。SSDは起動が速く、高速で読み書きできるというメリットがあります。動作音が静かで、持ち運びしやすい軽量サイズであることが多いです。
一方で、HDDと比べると容量が少ない傾向があります。容量に対して価格が高く感じることもあるでしょう。
HDD(ハードディスクドライブ)
HDDは円盤型の記憶媒体です。SSDよりも容量が大きく、容量に対して価格が安いというメリットがあります。
デメリットとしては、SSDより起動が遅く、衝撃に弱いといった点が挙げられます。データの読み書きの速度が遅いため、スピードを求めないデータの保存に適しているでしょう。
SSDが壊れた際の対処法
SSDが壊れた場合、SSD本体とデータのうちどちらを優先するかによって対処方法が異なります。ここでは、それぞれの対処法を説明します。
SSD本体を優先する場合
SSDが壊れて「データを失ってもいいから早くSSDを使用したい」という場合は、以下の方法で対処しましょう。
SSDを新しく購入する
SSDのデータを失っても大丈夫な場合は、新しく購入すれば早くSSDを用意できます。寿命が来てしまった場合は使えないため、新しく購入する必要があります。
壊れたSSDと同じスペックのものを購入すれば、購入前と同じスピードでデータの保存ができるでしょう。
メーカーに修理や交換を依頼する
壊れたSSDは、メーカーに修理や交換を依頼できる場合があります。メーカーの保証サービスがあるか確認したうえで問い合わせると良いでしょう。
メーカーに修理を依頼した場合、保存されたデータは全て消える可能性があります。修理に出す前に、業者にデータの扱いを確認しましょう。
データ復旧を優先する場合
大事なデータがSSDに保存されていた場合、SSD本体よりもデータの復旧を優先したいことがあるかもしれません。データの復旧を優先する場合は、以下の対処を検討してみてください。
バックアップデータから復旧を行う
パソコン内蔵型のSSDでバックアップがある場合は、バックアップデータから復旧を試みましょう。WindowsとMacではバックアップの復旧方法が異なるため、手順を確認したうえで行ってください。
Googleドライブなどクラウド上にバックアップを取っている場合は、サインインをして対象データを複製しましょう。
チェックディスクを使用する
チェックディスクとは、パソコンのエラーをチェックするWindows標準のプログラムです。異常を検知した場合に復旧処理を行います。
チェックディスクを実行する場合は「cmd.exe」を管理者として実行してください。コマンドプロンプト上で復旧したいSSDを指定して、復旧処理を行います。
データ復旧ソフトを使用する
復旧ソフトを使用するとデータを復旧できる可能性があります。フリーソフトは無料で使えて自分の好きなタイミングで復旧できるので便利です。
しかし、復旧ソフトを使えば必ず復旧できるとは限りません。操作を誤ると状態を悪化させる可能性もあるため、操作が不安な方は復旧ソフトの使用を避けたほうが良いかもしれません。
データ復旧業者に依頼する
安全にデータを復旧したい場合は、データ復旧業者に依頼するのが良いでしょう。最も費用がかかる対処法ではありますが、作業に不慣れな場合は自分で対処するよりプロに依頼するほうが安全です。
SSDが壊れた場合のみならず、寿命を迎えてしまった場合も復旧できる可能性があるため、確実にデータを復旧させたい場合は業者に相談しましょう。
SSDの寿命を予測するソフトもある
SSDが寿命を迎えてからデータを復旧しようとすると、必ずデータを復旧できるとは限らないうえに復旧作業の手間がかかります。事前にSSDの寿命を把握したい方は、SSDの寿命を予測するソフトを利用してみるのも良いでしょう。
SSD Life FreeはSSDの寿命がわかるソフトです。SSD最適化設定はSSDの利用を最適化してくれるため、延命に効果がある可能性があります。
必ずソフトで予測した寿命通りになるとは限りませんが、事前に寿命の目安を知っておくと、余裕を持ってバックアップや新しいSSDの準備ができます。SSDの寿命を把握したい方はソフトで確認してみてください。
まとめ
SSDの寿命はおよそ5年と言われていますが、データの書き込み回数や稼働時間によっても変動します。5年は目安ととらえ、寿命を迎えたときに焦らないよう定期的にバックアップを取っておきましょう。
SSDが認識されなくなったり処理速度が遅くなったりしたら、SSDが寿命を迎えている可能性があります。このような症状が見られたときは、早めにバックアップや新しいSSDの準備をしておきましょう。