HDDはパソコンなどの記憶装置として使われていますが、精密機器であるためちょっとした衝撃で壊れてしまうことがあります。また、経年劣化などで寿命を迎えてしまうこともあります。
この記事では、HDDの基本的な構造や仕組み、寿命などについて詳しく解説していきます。SSDとの違いや故障した際の対処法についても紹介しているので、HDDについて気になる方はぜひ参考にしてみてください。
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HDDとは?
HDDとはハードディスクドライブ(Hard Disc Drive)を略した言葉で、パソコンをはじめとする様々なコンピュータに搭載されている記憶装置です。
パソコンなどで画像や映像などのデータを保存する部品で、パソコン以外では外付けのHDDやテレビのHDDレコーダー、ゲーム機などにも使用されています。
そもそも最初に商用として開発されたHDDは、1956年に出荷された「IBM 305 RAMAC」だと言われています。当時のHDDは今のものと比べてはるかに大きかったため、一部のデータセンターなど限られた場所でのみ使用されていました。
その後、HDDの軽量化が進み1990年ごろになると20GBほどの容量のあるHDDが普及し始め、現在では1TB以上の容量のあるHDDが主流となっています。
HDDの構造
プラッタ(磁気ディスク)
HDDに使われている部品の中で、データを記録する役割を担っているのが「プラッタ(磁気ディスク)」になります。磁性体が付いている金属製のディスクで、HDDは基本的に複数のプラッタで構成されています。プラッタの枚数が増えるほど保存できるデータの容量も増えていきます。
プラッタは非常に繊細な部品で、少しのキズや指紋が付着するだけで正常に動作しなくなってしまうことがあります。プラッタにキズがつくことによって起こる障害を「スクラッチ障害」と呼び、基本的に修理をするためには業者に依頼するしかありません。
磁気ヘッド
先ほどプラッタはデータを記録する役割があるとお伝えしましたが、「磁気ヘッド」はデータの読み書きを行う役割を担っています。磁気ヘッド自体は小さな部品で、プラッタにデータの読み書きを行うために存在するため、プラッタと同じ数だけ磁気ヘッドもあるということになります(プラッタの両面にデータ記録する場合は、それぞれの面に磁気ヘッドも存在します)。
正常な状態では、磁気ヘッドとプラッタは接触しないように設計されていますが、外部からの衝撃や経年劣化などによって磁気ヘッドとプラッタが接触してしまうと、障害が発生してデータの読み書きができなくなってしまうことがあります。
これを「磁気ヘッド障害」と呼び、HDDからカタカタ・カチカチ・キュルキュルといった異音が聞こえる場合は、HDDが故障しかけている可能性が非常に高いので、なるべく早くHDDの使用を停止して、データのバックアップやHDDのデータ復旧業者に相談するようにしましょう。
HDDから異音が発生する場合の対処法などについてはこちらの記事で詳しく説明していますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
スピンドルモーター
磁気ヘッドがプラッタにデータを記録する役割を担っていますが、そもそもプラッタが回転していないと、データの読み書きを行うことができません。そこで、プラッタを回転させる役割を持っているのが、「スピンドルモーター」と呼ばれる部品になります。
スピンドルモーターの回転数が速くなるほど、データの記録にかかる時間も速くなります。主な回転速度には「毎分5,400回転」「毎分7,200回転」「毎分10,000回転」「毎分15,000回転」などがあり、この速度はHDDによって異なります。
このモーターに障害が発生してしまうと、回転がうまく行われなくなり、データの読み書きができなくなってしまうことがあります。専門知識がない方では修理することが難しく、無理に直そうとすると症状が悪化してしまう可能性があるため、絶対に行わないようにしましょう。
シークモーター
磁気ヘッドがついているアームを動かすためのモーターを「シークモーター」と呼んでいます。2つの磁石によって発生する磁力をコイルに伝えてモーターを動かすという仕組みになっています。スピンドルモーターと同じく経年劣化などにより、シークモーターが故障するとデータの読み書きができなくなってしまいます。
アクチュエーター
磁気ヘッドを磁力によって任意のトラック上で移動させる役割を担う部品は「アクチュエーター」と呼ばれています。素早く繊細な動きをする部品のため、ちょっとした衝撃などで故障することがあります。磁気ヘッドの位置を決める役割を担っているので、別名「位置決め装置」とも呼ばれています。
HDDの仕組み
HDDは先ほどお伝えした各部品によってデータの読み書きを行っています。HDDのデータの読み書きは、下記のような流れで行われます。
- シーク(探す)
- サーチ(検索する)
- データの転送を行う
「シーク」では、アクチュエーターがデータの読み書きをしたいトラックへ磁気ヘッドを誘導し、「サーチ」で、プラッタの回転に伴いデータが磁気ヘッドの位置に来るまで待機をして、磁気ヘッドの位置に来た際にデータの読み込みを開始するという仕組みです。
これら一連の処理が早いほど、データの読み書きが早いHDDということになります。
磁気ヘッドとプラッタの間には、0.02μmほどのごく僅かな隙間しか開いていないため、HDDを落下させてしまったり、衝撃を加えたりするとこの隙間が無くなってしまい故障してしまうのです。
また、HDDの記録方式には下記の2つの方式があります。
水平磁気記録方式
水平磁気記録方式は、HDDのデータ記録において、磁性層を水平方向に磁化する記録方式のことをいいます。高密度化を行うためには1つのビットを小さくする必要がありますが、これにより「熱揺らぎ問題」と言われる現象が発生し、データを紛失してしまうというリスクがあります。
垂直磁気記録方式
水平磁気記録方式の欠点を解消するために考えられたのが、垂直磁気記録方式で、2006年頃からこちらの方式への移行が進んでいきました。当初は、この方式は実用化が難しいとされていましたが、技術の進歩とともに商用化がされるようになってきました。
HDDは精密機器なので分解の際にはクリーンルームが必須
HDDはすでにお伝えしている通り非常に精密な機械なので、少しのホコリや指紋が部品に付着するだけでも故障の原因となってしまいます。
HDDに物理的な障害が発生してしまった際は、自分で分解をしない方がよいとされていますが、その最大の理由が一般家庭ではホコリなどの侵入を完全に防ぐことができないという点にあります。
データ復旧業者などに依頼をすれば、専用のクリーンルームを保有していることが多いので、ホコリなどの侵入を防ぎつつデータの復旧を行なってくれるでしょう。
HDDとSSDの違い
HDDとよく似た記録媒体にSSDと呼ばれるものがあります。SSDとはソリッドステートドライブ(Solid State Drive)の略で、HDDがプラッタと呼ばれるディスクにデータを読み込みしているのに対して、SSDは内蔵されているメモリーチップにデータを読み込みするという仕組みになっています。
SSDの方が後から出てきた技術で、最近ではHDDではなくSSDが内蔵されているパソコンも徐々に増えてきています。
HDDと比較したSSDのメリットには下記のようなものが挙げられます。
- 衝撃に強く故障リスクが少ない
- データの読み書き速度が速い
- 動作音が静か
- 軽量化されている商品が多い
一見するとHDDよりもかなり優れているように感じますが、SSDには下記のようなデメリットもあります。
- 大容量の商品はまだ少ない
- 価格が高い
簡単にまとめると、速度や耐久性、静音性などの面ではHDDより優れていますが、その分価格が高くなりやすく、保存できるデータ容量がHDDより少なくなっているということになります。
HDDの寿命と故障の原因
ここからはHDDの寿命の目安や故障の原因について解説していきます。
HDDの寿命は約4年程度
一般的に、パソコンなどに内蔵されているHDDの寿命は約4年程度、外付けHDDの寿命は約3年程度と言われています。
ただし、こちらはあくまで目安で使用時間や使用方法によって変わってきます。HDDに衝撃を加えてしまったり、熱がこもりやすい環境で使用を続けている場合には一般的な寿命よりも早く故障してしまうので注意が必要です。
また、4年以上経っても問題なく使用できるケースもあります。ただし、経年劣化などによりいつ故障をしてもおかしくない状態なので、定期的にバックアップを取ったり、新しいHDDやSSDへの移行を検討することをおすすめします。
HDDが故障する原因には論理障害と物理障害の2種類が存在しています。それぞれの特徴について簡単に解説していきます。
故障の原因① 論理障害
論理障害は、HDDに保存されているデータに問題が発生することによって引き起こされる障害のことをいいます。主な原因には、HDDのフォーマットやウィルス感染、データを誤って削除してしまったなどが挙げられます。
論理障害が発生すると、HDDのフォーマットを要求されたり、PCが起動しない、再起動が繰り返される、必要なデータが消えてしまうなどといった現象が発生します。
軽度の論理障害であれば、フリーソフトや市販のデータ復旧ソフトで解決できる場合もありますが、逆に症状を悪化させてしまうケースもあります。
そのため、論理障害によるデータ復旧は、専門知識がある方以外は専門業者に依頼することをおすすめします。
故障の原因② 物理障害
物理障害は、データではなくHDD本体が物理的に故障してしまったことにより引き起こされる障害のことをいいます。こちらはHDDを落としてしまった場合や水没させてしまった場合などが主な原因になります。また、経年劣化による部品の故障も原因として挙げられます。物理障害が発生したHDDは、カチカチ・キュルキュルといった異音がするケースが多く、その他に、パソコンの再起動が繰り返される、パソコンがフリーズする、HDDの認識がうまくされないといった症状も見られます。
物理障害の修理を個人でするのは非常に難しく、明確に落としてしまった場合などを除き論理障害と区別するのは難しいので、データの復旧が必要な場合は専門業者に依頼するようにしましょう。
HDDが故障した際のNG行動
ここからはHDDが故障したしまった際にしてはいけないNG行動について詳しく解説していきます。万が一HDDが故障してしまった時に症状を悪化させないためにも、事前に知っておくことが大切です。
電源のオン・オフを繰り返す
パソコンに不具合が発生している場合は、一度電源を落として再度付けてみることで症状が改善することがあります。しかし、HDDが故障をしてしまっている状態で電源のオン・オフを繰り返してしまうと、HDDに負荷を与えてしまい症状が悪化してしまうケースがあります。
症状が悪化してしまうと、データ復旧が難しくなってしまうこともあるので、なるべく電源のオン・オフを繰り返さないようにしましょう。
フォーマットを行う
パソコンがHDDを認識しない時や再起動を繰り返すときに「フォーマットをしますか?」というメッセージが表示されることがあります。フォーマットとはファイルを整理しデータの管理ができるように修正し、初期化する操作のことをいいます。実行してしまうと、HDD内のデータが全て消えてしまうため、必要なデータがある場合は絶対に行わないようにしましょう。
叩いて衝撃を与える
HDDに異常が発生した際に、HDDを叩いて直そうとすることがあるかもしれませんが、前述の通りHDDは精密機器であるため、衝撃を加えるのはおすすめできません。
HDDに衝撃を加えることでかえって症状が悪化するケースも考えられるため、異常が発生している時こそ慎重に取り扱うことが大切です。
自分で分解する
HDDの分解は、ホコリなどの入らないクリーンルームで行う必要があるため、自分で分解するのは絶対に避けるようにしましょう。また、HDDに知識がない場合は論理障害と物理障害の区別が難しいため、論理障害が発生しているときにHDDを分解することで物理障害を併発してしまうと、データ復旧業者でもデータの取り出しが難しくなってしまいます。
また、復旧が可能な場合でも費用が高くなってしまう可能性が高いので、自分での分解は避けることをおすすめします。
HDDが故障した際の対処法3選
データ復旧ソフトを使用する
HDDが故障してしまった際に、データ復旧ソフトを使用することで故障の改善や消えてしまったデータの復旧ができる可能性があります。しかし、前述の通り、場合によっては症状を悪化させてしまうケースも考えられるため、会社のパソコンなどで本当に大切なデータがある場合は自己判断でデータ復旧ソフトを使用せずに、専門のデータ復旧業者への依頼を検討するようにしましょう。
データ復旧会社に依頼する
確実にデータの復旧を行いたい場合は、データ復旧業者への依頼がおすすめです。今までの知識と経験からHDDの状態に合わせた復旧作業を行なってくれるため、データ復旧の確率はかなり高いと言えます。セキュリティ面などで不安がある場合には、セキュリティ対策をしっかりしている業者を選ぶようにしましょう。
データ復旧協会DRAJに加盟している企業であればセキュリティ対策がしっかりしているだけでなく、技術力の高さや妥当な費用での作業などが約束されているのでおすすめです。
メーカーに修理に出す
HDDが故障した際には、メーカー修理に出すという方法もあります。ただし、メーカー修理はHDD自体を使用できるように工場出荷時の状態に戻してくれるだけで、HDDの中身を修復してくれるわけではない点に注意しましょう。特に大切なデータがHDD内にある場合はメーカー修理ではなく、データ復旧業者に依頼をするようにしましょう。
まとめ
HDDはハードディスクドライブを略した言葉で、パソコンやゲーム機などに搭載されている記憶媒体のことをいいます。HDD内にはプラッタや磁気ヘッド、モーターなど様々な精密部品が搭載されており、少しの衝撃でも故障してしまうため慎重に取り扱うことが大切です。HDDの寿命は内蔵HDDで約4年、外付けHDDで約3年と言われています。動作がおかしくなってきたらバックアップや新しいHDDへの買い替えを検討し、個人の判断で分解はしないようにしましょう。
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