HDDの不良セクタとは、障害が発生してデータの登録ができなくなった記憶装置のエリアのことです。不良セクタが発生するとパソコンがフリーズしやすくなったり、「ファイルが壊れています」などのエラーメッセージが表示されるようになったりします。
この記事では、不良セクタの原因や修復方法を解説しています。不良セクタについて知りたい方は、最後まで読んでみてください。
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HDDのセクタに関する基本情報
セクタとは、何のことでしょうか。ここでは、基本情報を確認しておきましょう。
そもそもセクタとは?
セクタとは、HDDなどコンピュータの記憶装置にデータを読み書きする最小の単位です。
ディスクを円状に分けた単位を「トラック」と呼び、円状に分けたうえでさらにディスクの中心から放射状に等間隔で区切った範囲を「セクタ」と呼びます。1つのセクタあたりの記憶容量は、512バイトから2048バイトであることが一般的です。
不良セクタとは?
不良セクタとは、その名の通り壊れたセクタ、つまり何らかの障害が発生してデータを記憶できなくなった領域のことです。セクタ内でエラーが発生したのが1バイト分だけだったとしても、1つのセクタ全体が利用できない状態になります。
不良セクタが発生すると、ファイルが破損して開かなくなるなど、パソコンを使ううえでの不具合が発生しやすくなります。
HDDに不良セクタが発生してしまう原因
不良セクタが発生する原因には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、考えられる3つの原因を解説します。
HDDの初期不良
現在の製造技術では、基本的に最初から不良セクタをゼロにすることができません。そのため、工場からHDDを出荷する時点で不良セクタが存在することがよくあります。
ただし、出荷時から存在する不良セクタは、正常なセクタにスキップできるのが一般的です。そのため、出荷時から不良セクタがあるからといって「エラーで使えない」といったことは少ないでしょう。しかし、出荷時点で多くの不良セクタが含まれていた場合は、最初から正常に動かないことも考えられます。
HDDのヘッド障害
HDDのヘッドが破損すると、不良セクタが発生する恐れがあります。ヘッドとは、HDD内でデータを読み書きする部品です。長年使用することによる劣化や衝撃などのためにヘッドが破損すると、データを読み書きする際にディスクの記録面と接触して「スクラッチ」という傷をつけてしまう恐れがあります。
スクラッチが付くと不良セクタとなって、データを正常に読み取れなくなります。
磁気の劣化
不良セクタの原因には、データ記録面の磁性体の劣化が考えられます。
HDDを長年使用すると、劣化によって磁性が低下していきます。磁性が低下すると、読み込みができなくなり、不良セクタが発生するかもしれません。磁性体が劣化したまま続けると、不良セクタの領域が拡大して症状が悪化する可能性もあります。
HDDの不良セクタによって発生するトラブル
不良セクタが発生すると、どのようなトラブルが起きるのでしょうか。ここでは、発生しやすいトラブルを4つ紹介します。
パソコンがフリーズする
不良セクタが発生すると、パソコンがフリーズする恐れがあります。パソコンが頻繁にフリーズすると、作業を効率的に進められません。また、大事なデータを保存している途中でフリーズしてしまうと、データの破損なども考えられます。
フリーズしているからといって強制的に電源のオン・オフを行うと、不良セクタが拡大する恐れがあります。電源のオン・オフは控えましょう。
パソコンの起動や動作が遅くなる
不良セクタが発生すると、パソコンの起動や動作が遅くなる可能性があります。起動に時間がかかると、パソコンで作業をしたいときにすぐに取りかかれず、不便に感じることもあるでしょう。また動作が遅いために作業をスムーズに行えず、効率的に仕事ができなくなる可能性もあります。
エラーメッセージが表示される
不良セクタが発生すると、エラーメッセージが表示されるようになります。「ファイルが壊れています」「ドライブCの読み込みに一般的なエラーが発生しました」「フォーマットしてください」といったエラーが表示されるようになったら、HDDに不良セクタが発生している可能性があります。
HDDから変な音が聞こえるようになる
HDDから「カチカチ」「カタカタ」といった変な音が聞こえるようになったときは、不良セクタが発生しているかもしれません。ヘッドがディスクに接触しているときには「シュー」といった音が聞こえることもあります。
これらの音が聞こえたら電源を落とすようにしましょう。電源を付けた状態でヘッドがディスクに接触していると、ディスクに傷を付けてしまう可能性があります。
HDDの不良セクタをマークする方法
WindowsなどのOSでは、不良セクタが発生したときにマークする機能があります。
不良セクタのマークとは、「このセクタは使えない」とOSに認識させて使用しないように設定することです。Windowsの場合、CHKDSKやSCANDISKなどの仕組みを使えば、不良セクタのマークが可能です。
不良セクタをマークする場合は、以下の手順で行いましょう。
- Windowsの検索ボックスに「cmd」と入力する
- 「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する
- ウインドウに「chkdsk c:/f /r」と入力して「Enter」キーを押す
- 「ボリュームが別のプロセスで使用されているため、CHKDSKを実行できません。次回のシステム起動時に、このボリュームのチェックをスケジュールしますか?」と表示されたら、「Y」と入力する
チェックが完了すると不良セクタが「使用できない」とマークされて、スキップされるようになります。あくまで正常にデータを読み書きできるようにするための方法であり、不良セクタの数を減らす方法ではありません。
HDDの不良セクタを修復する方法
不良セクタが発覚した場合、修復するにはいくつかの方法があります。ここでは3つの方法を紹介します。
エクスプローラーから修復
エクスプローラーから修復する場合、使用しているWindowsのバージョンによって修復方法が異なります。ここではWindows 10の場合を例に、修復手順を説明します。
- エクスプローラーを起動して「PC」を選択する
- 不良セクタを含むディスクを右クリックして「プロパティ」を選択する
- 「ツール」タブのエラーチェック欄にある「チェック」を選択する
チェックが終わったら、表示されたドライブの状態を確認しましょう。エラーが出た場合は、メッセージの指示に従います。エラーがなく「このドライブをスキャンする必要はありません」といったメッセージが出た場合も、念のためドライブをスキャンしておくと安心です。
コマンドプロンプトから修復
不良セクタをコマンドプロンプトから修復する場合は、以下の手順で行います。
- Windowsの検索ボックスに「cmd」と入力する
- 「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する
- ウインドウに「sfc /scannow」と入力して「Enter」キーを押す
「sfc /scannow」コマンドを使うと、Windowsのシステムファイルの異常確認や修復を行えます。
フリーソフトで修復
ここでは、AOMEI Partition Assistant Standardというフリーソフトで修復する方法を説明します。
- AOMEI Partition Assistant Standardをインストールして起動する
- 不良セクタがあるドライブを選んで右クリックし、「詳細処理」→「パーティションをチェック」を選択する
- エラーをチェックする方式を選択して「はい」を選ぶ
- 「開始」ボタンを選択して不良セクタのチェックを行う
データが破損してしまった場合はデータ復旧業者への依頼がおすすめ
HDDのデータが破損してしまった場合は、データ復旧業者に依頼するのがおすすめです。
フリーソフトなどを使って自分で復旧できる場合もありますが、知識がない状態で復旧作業を行うと症状が悪化する可能性があります。症状が悪化すると、最初からデータ復旧業者に依頼していれば修復できたデータも修復できなくなったり、一層修理コストがかかったりする可能性があります。
修復のコストはかかるものの、大事なデータを復旧したい場合はデータ復旧業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
不良セクタとは、データの読み書きを行う記憶装置にエラーが発生した状態です。不良セクタが発生すると、パソコンがフリーズしやすくなったり、エラーメッセージが表示されるようになったりします。
不良セクタの疑いがある場合は、本記事で紹介した修復手順を試してみてください。データの破損がわかったときは、自分で修復しようとせず、データの復旧業者に依頼するのがおすすめです。