RAID5とは？メリットやデメリット、RAID6との違いをわかりやすく解説

サーバーやNASの導入を検討していて、RAID5とはどのような仕組みなのか気になっていませんか。RAID5は、3台以上のHDDに「パリティ」と呼ばれる符号を分散して配置することで、HDDが1台故障してもデータを失われないようにする技術です。データの安全性が高まるメリットがありますが、2台のHDDが同時に故障するとデータがすべて失われることを知っておく必要があります。

本記事では、RAID5の仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説します。RAID6との違いや、RAID5が崩壊してしまったときの対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

RAID5とは

RAID（レイド）とは、複数のHDDを組み合わせて1台のドライブのように扱う技術です。RAID5は、データの修正に必要な「パリティ」という符号を生成し、複数のHDDへ分散して書き込みます。3台以上のHDDで構成されており、1台が故障しても残りのデータとパリティ情報を使って失われたデータを復元できるのが特徴です。

RAID5のメリット

RAID5を構成するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

• 1台故障しても使用し続けられる
• 読み書きの速度が早い
• コストパフォーマンスがよい

1つずつ詳しく解説します。

1台故障しても使用し続けられる

RAID5は構成するHDDのうち1台が故障しても、システムを停止せずに運用を続けられるメリットがあります。パリティを各HDDに分散配置しているため、万が一の際にも稼働が維持されます。故障したドライブを新しいものに交換してリビルドを行えば、データの復元も可能です。

システムを常時稼動させたいサーバーやNASの運用において、信頼性の高い方式といえるでしょう。

読み出しの速度が早い

RAID5は、データを複数のHDDに分散して書き込む「ストライピング」という技術を利用しています。ストライピングを活用すれば、複数のHDDで並行してデータの読み込み作業ができるので、処理速度が高速になります。

大容量の動画ファイルや複数人がデータベースにアクセスするシーンなど、高速な読み出しが求められる際にメリットを感じられるでしょう。

コストパフォーマンスがよい

RAID5はデータの安全性と利用できる容量のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れています。例えば、4台のHDDでRAID5を組むと、パリティ保存用の1台を除いた3台分の容量をデータ保存用として使えます。データを二重に保存するRAID1などに比べると、HDDの容量を効率よく利用できるのがメリットです。

RAID5のデメリット

RAID5は多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。

• 2台以上のHDDが同時に故障するとデータ復旧が難しい
• 書き込み速度が低下する場合がある
• パリティ保存のために容量が必要

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2台以上のHDDが同時に故障するとデータ復旧が難しい

RAID5の耐障害性は、HDD1台の故障までしか対応していません。1台目の故障後にリビルドを行うと、正常なHDDに負荷をかけてしまいます。同じ時期に購入したHDDは寿命も近いため、リビルドの負荷によって2台目も故障し、RAIDが崩壊するケースは少なくありません。

HDDが2台同時に故障すると、データ復旧が難しくなるので注意しましょう。

書き込み速度が低下する場合がある

RAID5はデータの書き込み時に「パリティ」の計算も同時に行います。通常のデータ書き込みに加えて、パリティ計算と書き込みの処理を行うため、書き込み速度が遅くなる可能性があります。

また、HDDの台数が増えるとパリティ計算の負荷もかかるため、構成台数が増えるほど書き込みが遅くなることを認識しておきましょう。

パリティ保存のために容量が必要

RAID5は、構成するHDDのうち1台分をパリティの保存用として使用します。

例えば、HDDを3台使ってRAID5を構築しても1台分はパリティの保存用となるため、実際に使用できるのはHDD2台分の容量です。HDD3台分のすべての容量をデータ保存のために使えるわけではないことを知っておきましょう。

RAID5とRAID6の違い

RAID6は2種類のパリティを生成し、それぞれ異なるディスクに分散して記録するのが特徴です。

RAID5とRAID6の主な違いは、以下のとおりです。

	RAID5	RAID6
パリティ	1種類を使用する	2種類を使用する
必要なHDD台数	3台以上	4台以上
耐障害性	HDD1台が故障しても稼働可能	HDD2台が故障しても稼働可能
ストレージ容量	HDD台数-1台分	HDD台数-2台分
書き込み速度	早い	RAID5に比べると遅い

RAID6は、パリティを保存するためにHDD2本分の容量を使用します。データは守られやすいですが、その分RAID5に比べると利用できる容量が減り、コストがかかる点に注意が必要です。データの重要度に応じて、RAID5もしくはRAID6を選びましょう。

RAID5が崩壊したときのNG行動

RAID5が崩壊してデータにアクセスできなくなった際、状態をさらに悪化させないために以下の行動は避けましょう。

• 知識がない状態でリビルドを行う
• HDDの順番を入れ替える
• HDDを直接パソコンに繋げる
• RAIDレベルを変更する
• RAIDカードを交換する

1つずつ詳しく解説します。

知識がない状態でリビルドを行う

RAID5が崩壊した状態でリビルドを行うと、正常なHDDに過度な負荷がかかり、データを消失してしまう可能性があります。不適切な操作はデータ復旧率を下げることにつながるため、専門知識がない状態でのリビルドは避けましょう。

HDDの順番を入れ替える

RAIDは、各HDDの配置が決められており、データ処理をする順番が決まっています。HDDの順番が変わると、適切な読み取りができなくなり、データが破損してしまう可能性があります。データが破損した状態で使い続けると、正常なデータまで破損するリスクが高まるので注意しましょう。

HDDを直接パソコンに繋げる

RAID崩壊時に、故障したHDDを取り外してパソコンに直接接続するのは危険です。RAID用のHDDには専用のファイルシステムが構築されているため、通常のパソコンでは認識できません。

パソコンに接続すると「ドライブを初期化しますか？」と表示される場合がありますが、操作を実行するとデータが消去されるため、行わないようにしましょう。

RAIDレベルを変更する

NASなどの機器本体には、RAIDレベルを変更できるスイッチが搭載されている場合があります。RAIDが故障したときにRAID5からRAID6といったように設定変更すると、新しい構成でシステムの再構築を始めてしまいます。再構築をすると、残っていたデータまで消去される可能性があるので、故障時にRAIDレベルの設定を変更するのは避けましょう。

RAIDカードを交換する

RAIDカードは、複数のHDDを1つのストレージのようにまとめて機能させるための部品です。RAIDカードにはデータの配置といった重要な情報が記録されているので、知識がない状態で新しいカードに交換するのは危険です。

型番やメーカーが異なるカードに交換すると、既存のRAID構成が認識されなくなってしまうため、自己判断での交換は避けましょう。

RAID5のデータ復旧は専門業者に相談するのがおすすめ

RAID5の構成が崩壊したときやデータの復旧確率を高めたいときは、データ復旧の専門業者に相談するのがおすすめです。

RAIDは特殊な構造をしているため、専門知識なしでのデータ復旧は難しいです。データ復旧業者は、RAID復旧に関する専門知識や設備をもっているため、大切なデータを取り戻せる可能性が高まるでしょう。

おすすめのデータ復旧業者3選

RAID5についてのよくある質問

最後に、RAID5についてのよくある質問に回答します。

1TBのHDDを4台使ってRAID5を構築すると実際に使える容量はどれくらい？

使用できる容量の目安は、約3TBです。RAID5は、HDD1台分の容量がパリティの保存用になるため「（HDDの台数-1台）×HDD1台の容量」が使用容量となります。そのため「(4台-1台)×1TB=3TB」が実際に使える容量の目安です。

RAID5のデータ復旧は自分でできる？

データ復旧ソフトを使うと、RAID5のデータを自身で取り戻せる可能性があります。

ただし、RAIDは専用のファイルシステムを使用していることが多く、一般的な復旧ソフトでは正常に動作しないケースも少なくありません。無理に操作すると、RAIDの状態がさらに悪化してしまう可能性もあるため注意が必要です。ソフトの使用方法に不安がある場合は、データ復旧業者に相談しましょう。

まとめ

RAID5は3台以上のHDDを使い、データとパリティと呼ばれる復元用データを全体に分散して記録する技術です。データの読み書き速度と耐障害性を両立できたり、コストパフォーマンスに優れていたりするメリットがあります。しかし、2台同時にHDDが故障するとデータ復旧が難しくなることに注意が必要です。

RAID5が崩壊した場合は、データ復旧業者に相談することをおすすめします。RAIDは特殊な構造をしているため、自身でデータを復旧するのは難しいです。

専門知識や設備をもつ業者であれば、データを復元できる可能性が高まるため、早めに専門業者へ相談してみましょう。