RAID6のデータ復旧方法は？3台以上故障した場合の対処法や注意点も解説

RAID6は様々なメーカーで販売中のNASで採用されているRAIDレベルで、障害に対する耐性が強いため職場などで利用されているケースも多いのではないでしょうか。しかし、安全性は高いですが同時に3台以上のHDDが故障してしまうとシステムの安定稼働ができなくなってしまいます。

そこでこの記事では、3台以上のHDDが同時に故障してしまったRAID6のデータ復旧方法やおすすめ業者について詳しく解説していきます。RAID6の概要や復旧前の注意点についても解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

そもそもRAID6とはどういったもの？

複数の記録媒体を組み合わせて1つの仮想的なドライブとして扱い、安全性や障害耐性を向上させる技術のことを「RAID（レイド）」と呼びます。RAIDには「RAID0」「RAID1」「RAID5」「RAID6」など様々な種類がありますが、その中でも「RAID6」はHDDに障害が発生しても安定稼働を続けられる「冗長性」に優れたRAIDレベルとなっています。

RAID5とRAID6の違い

「RAID5」と「RAID6」はよく比較されるので、違いについて簡単に説明していきます。

そもそも「RAID5」とはHDDが最低でも3台必要なRAIDレベルで、3台のうち2台にデータを分散して書き込むことによって書き込み速度の向上が期待できます。残りの1台分の容量で「パリティ」と呼ばれる冗長コードを保持しておくことにより、どれか1台のHDDが故障しても残りのHDD内のデータとパリティコードを使用して元の状態に戻すことができるという仕組みになっています。

一方、「RAID6」は「RAID5」を拡張したRAIDレベルで、HDDが最低4台必要になる代わりに2台のHDDがパリティ保存用に使われるようになるため、より障害耐性が高くなるという特徴があります。

RAID6のメリットについては、この後のブロックで詳しく解説していきます。

RAID6のメリット

RAID6のメリットには下記のようなものが挙げられます。

• HDDが同時に2台故障してもシステムの稼働を続けられる
• HDDを増やせば増やすほど書き込み速度が速くなる
• HDDの接続台数を増やすほど容量が増える

先ほどお伝えしたように、RAID6ではHDD2台分のパリティコードがあり、HDDが2台故障してもシステムが止まることがないため、耐障害性がRAID5よりも高くなるという非常に大きなメリットがあります。

また、HDDの台数が5台以上に増えてもパリティ用に使われるHDDの数は2台のままとなります。そのため、HDDの数を増やせば増やすほど書き込み速度が早くなり、データ保存に使用できる容量も増えるというメリットもあります。

RAID6のデメリット

RAID6のデメリットには下記のようなものが挙げられます。

• RAID5よりも書き込み速度が遅い※HDDの使用台数が同じ場合
• RAID5よりも使用可能なデータ容量が少ない※HDDの使用台数が同じ場合
• 障害発生に気付きにくい
• 3台以上のHDDの故障には耐えられない
• 導入コストが高い

RAID6はRAID5と比較した場合、単純にデータの保存に使用できるHDD台数が1台少なくなってしまいます。そのため、同じ台数のHDDで運用をする場合は、RAID5と比較してデータの保存に時間がかかったり、使用可能な容量が少なくなってしまうというデメリットがあります。

これらのデメリットは、使用するHDD台数を増やすことで解消することが可能ですが、その場合増えたHDDの本数分導入コストが高くなってしまいます。

RAID6は耐障害性が高いとはいっても同時に3台以上のHDDが故障してしまった場合だと、システムの稼働が止まってしまいます。また、2台までの故障であれば稼働を続けられるので、障害の発生に気付きにくいという点もデメリットとなってしまうでしょう。

RAID6は耐障害性が高いが3台以上故障すると壊れる

デメリットの項目でも説明した通り、RAID6は障害に対する耐性が高い一方で、3台以上の故障には耐えることができません。ただし、RAID6のシステムを利用した「RAID6+0」や「RAID6+1」と呼ばれるものも存在しています。「RAID6+0」はHDDを8台以上使用することでデータの読み書き速度が早くなる仕組み、「RAID6+1」は同じくHDDを8台以上使用することで、5台までのHDD故障に耐えられる仕組みとなっています。

ただし、いずれにしても落雷や水没の影響でHDD全てが壊れてしまうと復旧が困難になってしまうため、大切なデータを取り扱っている場合は定期的にバックアップを取っておくことが大切です。

3台以上のHDDが壊れたRAID6のデータを復旧する方法

ここからは、RAID6に障害が発生した場合のデータ復旧方法について解説していきます。

データ復旧ソフトを使用する（非推奨）

RAID6のデータ復旧方法の1つ目はデータ復旧ソフトを使用する方法になりますが、こちらは基本的にはあまりおすすめできません。というのも、RAID6のデータ復旧に対応しているソフト自体がそれほど多くなく、対応しているソフトでもHDD本体に問題が発生している場合は対応できないからです。

RAIDに限らずデータ復旧ソフトは「誤ってデータを消してしまった」「フォーマットを行なってしまった」といった軽度の論理障害にのみ対応可能で、「フォーマットを繰り返し行なった」といった重度の論理障害や「HDD本体が物理的に壊れた」といった物理障害には対応できません。

RAID6でデータ復旧が必要になるのは、この物理障害が発生しているケースが非常に多いため、データ復旧ソフトを使用しても症状が改善する可能性が低いばかりか、かえって状況が悪化することもあります。

原因の特定ができない場合は、安易にデータ復旧ソフトを使用するのは避けるようにしましょう。

データ復旧業者に依頼する

RAID6のデータ復旧方法の2つ目はデータ復旧の専門業者に依頼することです。データ復旧業者であれば、ソフトでは対応できない物理障害や重度の論理障害にも対応可能ですし、専門知識も豊富なためデータ復旧の成功確率も高いです。特に、個人で復旧を試みるよりも成功確率は確実に高いため、仕事などで使用している大切なデータがある場合は、なるべく早い段階で業者に依頼することをおすすめします。

ただし、一般的なHDDやSSD、USBメモリなどのデータ復旧と比較して、3台以上のHDDが故障してしまったRAID6機器のデータ復旧は難易度が非常に高いため、データ復旧業者の中でも対応可能な業者とそうでない業者が存在しています。

次の項で、RAID6のデータ復旧に対応しているおすすめ業者をいくつか紹介していくので、データ復旧依頼を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

RAID6のデータ復旧おすすめ業者

ここからは、RAID6のデータ復旧に対応しているおすすめ業者をいくつか紹介していきます。いずれも当サイトの優良業者の条件を満たしているため、業者選びに悩んでいる方はぜひチェックしてみてください。

RAID6のデータ復旧をする際の注意点

次に、RAID6のデータを復旧する際の注意点をいくつか紹介していきます。データ復旧業者に依頼をする場合、こちらの注意点を理解しておかないと復旧確率を下げてしまう可能性があるので、しっかり確認しておきましょう。

安易なリビルドは行わないようにする

RAID6の場合、2台以下のHDDの故障であればリビルドを行うことによって故障前の状態に戻すことが可能です。しかし、リビルドは正しい手順で行わないとかえって症状が悪化する可能性があります。

例えば、RAID6のHDDを新しいものに交換する際には、障害が発生しているHDDだけでなく全てのHDDを交換することが推奨されています。また、HDDの交換時に順番を間違えてしまうとRAIDの構成が崩れてしまう可能性もあります。

リビルドに失敗すると他の正常に動いているHDDまで壊れてしまい、データ復旧が困難になることもあるので、知識がない場合は安易にリビルドを行わない方がよいでしょう。

HDDを単体でPCに接続するのは避ける

RAID6で使用しているHDDを単体でPCに接続しても中身を見ることはできません。そればかりか、HDDを新しいデバイスに接続したことによりフォーマットを実行してしまい、中身のデータが全て消えてしまうこともあるので注意が必要です。

通電を続けたり再起動を繰り返さない

RAID6機器の電源を入れたままにしたり再起動を繰り返すと、HDDに負荷がかかってしまい症状が悪化してしまう原因になります。データ復旧を依頼する予定のある場合は、なるべく早めに電源を切ってそれ以上負荷をかけないようにしましょう。

知識がない場合RAIDカードの交換は避ける

RAID6に不具合が発生している場合、RAIDカードを交換することによって不具合が解消されることがあります。ただし、RAIDカードにはRAID機器との互換性があり、対応していないRAIDカードに交換してしまうとRAID構成が壊れてさらに復旧が困難な状態になる可能性があります。専門的な知識が必要になるため、自信がない場合はRAIDカードの交換も避けるようにしましょう。

RAID6のデータ復旧が必要になる障害の例

最後に、RAID6でデータ復旧が必要になる障害例をいくつか紹介していきます。

HDDが経年劣化で寿命を迎えた

RAID6に搭載されているHDDは消耗品になるので、経年劣化により部品が寿命を迎えると故障してしまいます。今までなかった異音がするようになったり少し焦げたような臭いがすると壊れかかっていると分かりやすいですが、前兆なくいきなり壊れてしまうケースもあるため注意が必要です。

落雷や停電・水没などでRAID本体が壊れた

HDDは精密機器であり、落雷や停電・水没などによる影響で壊れてしまうケースもあります。特に、水没などにより全てのHDDが同時に壊れてしまうとRAID6に備わっている冗長性がうまく発揮できずそのまま放置してしまうとデータ復旧ができなくなる可能性もあります。

リビルドに失敗した

RAID6機器でHDDが1台もしくは2台壊れてしまった場合、リビルドを行うことで壊れる前の状態に復旧することが可能です。しかし、正しい手順でリビルドを行わなかった場合やリビルド中に3台目のHDDが壊れてしまった場合はリビルドに失敗して元に戻せなくなってしまい、データ復旧が必要になってくるのです。

ちなみに、RAID6に使用されているHDDは全て同タイミングで製造されたものが多いため、1台のHDDが故障した場合、他のHDDも同様に壊れかかっていると思っておいた方がよいです。

管理画面で操作を誤ってしまった

管理画面での操作ミスもデータ復旧が必要になるトラブルの1つです。例えば、「RAID6のレベルを間違えてRAID5などに変更してしまった」「HDDを誤ってフォーマットしてしまった」といったことが挙げられます。

RAID構成が壊れた

RAID6で使用しているHDDを一度取り外して再度取り付ける際に、元々の順番と異なる順番で入れ直すとRAIDの構成が壊れてしまいます。このまま稼働を続けると間違った構成のままデータの上書きが進んでしまい復旧が困難になることがあるので、HDDを取り外した際には必ず順番をメモしておくようにしましょう。

まとめ

RAID6はRAID5にさらに冗長性を持たせた構造になっており、HDDが2台壊れてしまってもシステムを稼働し続けることが可能です。しかし、3台以上のHDDが壊れてしまった場合には個人での復旧はほぼ不可能となるため、データ復旧業者に依頼することをおすすめします。データ復旧を依頼する際には、「知識がない場合はリビルドを行わない」「通電や再起動を行わない」「RAIDカードの交換は行わない」といったことに注意しつつ、なるべく早めにデータ復旧業者に相談するようにしましょう。