大容量のデータの管理や運用に利用されている外部記憶装置として知られるRAIDには、いくつかの種類があります。その中でもRAID10は、2種類を掛け合わせて構成されたものとなっているため、性能が高く冗長性に優れています。
そんなRAID10の利用を考えていても、実際にどのような仕組みをしている機器なのかよくわからないという方も多いのではないかと思います。
そこで、今回はRAID10の基礎知識について、仕組みや特徴、メリット、デメリットなどを紹介していきます。その他にもRAID10が故障する原因や復旧する際の注意点なども紹介しているので、RAID10について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
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そもそもRAIDとは?
RAIDとは、「複数のHDDを、単体のHDDのように扱う技術」のことを指します。RAIDを利用することで、大量のデータを安全かつ高速に扱えると同時に、サーバを安定して稼働させることができます。
RAIDの特徴
RAIDの最大の特徴は、記録が高速に行える点にあります。RAIDは2台以上のHDDにデータを分散して書き込むため、素早くデータ記録が行えるのです。また、RAID内のHDDが破損しても、HDDを交換すればデータ復旧が可能です。そして、故障している間も他のHDDが稼働してくれるため、サーバ稼働の安定が見込めます。
RAIDの種類
RAIDには、RAID0、RAID1、RAID5、RAID6、RAID10(RAID1とRAID0の組み合わせ)といった複数の種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。導入する際には、自分に合ったRAIDを選ぶことが大切です。
RAID10(RAID1+0)とは?
RAID10(RAID1+0)とは、RAID1とRAID0を組み合わせた言わば「良いとこどり」の仕組みです。両方のRAIDを組み合わせることで、より安定したデータ運用が実現できます。それでは早速、RAID1とRAID0の特徴をチェックしてみましょう。
RAID1の特徴
RAID1は、複数のHDDに「全く同じデータを記録する」という特徴があります。同じデータを別々のHDDに記録することで、1台が破損しても別のHDDが稼働してくれます。しかし、データを書き込むのに時間が掛かる点や、利用できる容量が減ってしまうというデメリットもあります。
RAID0の特徴
RAID0は、複数のHDDに「分散して記録する」という特徴があります。HDDの台数を増やせば、より多くのデータを記録できます。書き込み速度が全RAIDの中で最も高速である点も特徴的です。しかし、HDDが1台でも破損してしまうと、データの読み書きはもちろん、復旧さえもできなくなってしまうデメリットもあります。
ストライピングとミラーリングの性能を持っている
RAID10の大きな特徴として、ストライピング構成であるRAID0とミラーリング構成となるRAID1の2種類が合わさって構成されている点が挙げられます。
ストライピングでは2台以上のハードディスクを必要としますが、分割したデータを同じ処理速度で2倍の容量を取り扱うことが可能です。
ミラーリングでは同じく2台以上のハードディスクが必要となり、それぞれのディスクに同じデータの書き込みを行うことで冗長性を高めることが可能となっています。そのため、それぞれの特徴が組み合わさったことで、データ処理速度の高速化と耐障害性の2つの要素を運用できるといった点が主な仕組みとなっています。
ミラーセットが故障しなければデータ復旧が可能
データを保存する仕組みでは、まず保存データをブロックに分け、それぞれにデータの複製を行います。その後、それぞれのミラーセットに分散してデータを保存する仕組みとなっています。
例えば、ハードディスクを4台使用していると仮定した場合、ディスク0・1を1つのミラーセットとします。そして、1セットに同じデータが2つ保存されることになり、それらが2セットに構成されるということになります。
そのため、ミラーセットが故障しなければもう一方のミラーセットにデータが保存されているので、トラブルが発生してもデータ復旧が可能になります。このような構成をしているため、冗長性に優れていると言われています。
RAID10のメリット
RAID10は、RAID1とRAID0の優れた部分を取り入れられ、デメリットもカバーし合える非常に優れたシステムです。具体的にどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
読み込み速度が速い
RAID10は、4台以上のHDDで構成されるのが基本です。HDDの台数を増やせば、その分読み込み速度の高速化が実現できます。
利用可能なデータ容量を最大化できる
RAID10は、RAID0の特徴である複数のHDDにデータを「分散して記録する」という特性を持っています。そのため、HDD台数を増やせば、データ容量を最大化することが可能です。
耐障害性に優れている
RAID10は、RAID1の特徴である、複数のHDDに「全く同じデータを記録する」という特性も持っています。そのため、故障が発生しても安定して稼働が可能です。また、RAID1が「HDD2台で1組」なのに対し、RAID10は「HDD2台で1組」を複数構成できます。そのため、さらに耐障害性が高くなります。
RAID10のデメリット
RAID1とRAID0の良いとこどりで、一見最強とも思えるRAID10ですが、実はデメリットも持ち合わせています。実際にどんなデメリットが生じるのか、確認していきましょう。
導入コストが高い
利用する上でのデメリットは、初期導入コストが高いことです。最近ではハードディスクが安価で購入できるようになっていますが、最低でも4台の購入が必要です。ちなみに、一般的に利用されることの多いRAID5であれば最低でも必要なディスクは3台となっているので、それに比べると導入コストは高いと言えるでしょう。
実際に使える容量は少なくなる
RAIDは「内蔵しているハードディスクの本数=使用できるデータ容量」という訳ではありません。RAID10の場合は全体の50%が使用可能な容量となっているため、全体で2TBの容量となる場合は、約1TBが使用できる容量ということになります。
そのため、容量が足りないと感じる場合はディスクの増設を行うことで使用可能容量を増やすことができます。もしも利用している中で容量不足を感じる場合は、ディスクの増設を検討してみてください。
RAID10とRAID5の違い
RAID10とよく比較されるのが、RAID5です。RAID10とRAID5の大きな違いは、「構築するHDD台数」でしょう。RAID10は、最低4台のHDDが必要です。対して、RAID5は最低3台のHDDで構築できます。また、安全面にも違いが見られます。RAID10は同データのHDDが2台ずつあるため、いずれかが故障しても復旧が可能です。しかし、RAID5はエラー修復ができる「パリティデータ」を付けた分散記録しかできません。そのため、HDDが2台壊れてしまうと、データの回復ができなくなってしまいます。
さらに、RAID5はデータの書き込みの際にパリティも更新しなければいけないため、RAID10に比べて記録速度が遅くなってしまいます。
RAID10とRAID6の違い
では、RAID10とRAID6では大きな違いはあるのでしょうか。RAID10とRAID6は、どちらも4台のHDDが必要です。ですが、RAID10がデータの分散用に2台、データの複製に2台使用するのに対し、RAID6はパリティデータの保存に2台使用し、残りの2台にデータを保存するという違いがあります。しかし、パリティのバックアップをとるため、RAID5やRAID10よりも、記録速度は遅くなってしまうでしょう。
RAID10が故障する原因
RAID10は冗長性が高く耐障害性に優れている機器ではありますが、100%安全に利用し続けられるという訳ではありません。経年劣化による故障をはじめさまざまな理由からトラブルが発生することがありますが、よくあるトラブルとその原因には以下のようなものがあります。
HDDの故障
HDDの故障の原因は「物理障害」と「論理障害」の2種類に分けられます。物理障害は、損傷や故障など物理的なことが原因となって起こる障害です。温度の変動や、振動、劣化などが原因となることが多いです。論理障害は、HDDデータが破損して読み取りが不可能になる障害で、自力で対応するのは困難な場合がほとんどです。
ディスクの取り外しによる不具合
RAID10は、HDDの整合性を保つため、設置の順番が決まっています。そのため、ディスクを取り外し、再度入れる際に順番を誤ってしまうと、データが乱れて故障に繋がってしまう危険性があります。
管理画面での操作ミス
管理画面での操作ミスにも注意が必要です。RAIDレベルの変更、HDDの初期化を行ってしまうと、故障の原因になってしまいます。操作ミスをした状態で作業を継続したり、ファイルのコピーを行うと、データが上書きされてしまう可能性があります。
リビルドによる不具合
RAID10では、HDDが破損してしまった際、新しいHDDと交換してリビルド(再構築)を行い、破損前の状態に回復することが可能です。しかし、リビルドはHDDに対する負担が大きいため、万が一リビルドに失敗してしまうとデータが失われてしまうことがあります。
コントローラーの故障
RAIDコントローラーとは、複数のHDDを一台の装置のようにまとめるシステムのことで、RAID10ではコントローラーが最低3台必要です。コントローラーが故障してしまうと、RAIDの構成情報に問題が起き、データが読み込めなくなる可能性があります。
RAID10のデータを復旧する際の注意点
では、RAID10に障害が発生した場合、どのような点に気をつけてデータの復旧を試みたら良いのでしょうか。大切なデータを失わないためにも、以下の注意点に気をつけて復旧にあたりましょう。
HDDの順番を入れ替えない
RAIDは、正しくデータを保存するためにHDDの挿入順が決まっています。もしHDDの挿入順番を誤ってしまうと、どのHDDにどのデータが保存されているのか判断できなくなり、データ破損や上書きされるリスクが高まります。
RAIDのレベルを変えない
RAIDレベルが変えられてしまうと、それぞれのHDDに保存されていた情報が乱れ、データの破損に繋がります。最悪の場合、データにアクセスできなくなってしまうこともあるので、焦って変更してしまわないように注意しましょう。
不必要なリビルド(再構築)は行わない
リビルドはHDDへの負担が大きく、失敗すると更に悪影響を与えてしまう可能性が高いです。繰り返しリビルドすることは避け、慎重な対応を心掛けましょう。
フォーマットは行わない
フォーマットを実行してしまうと、HDDの内容が削除されてしまいます。そのため、RAID情報や大切なデータも一緒に削除されてしまう可能性があります。安易にフォーマットをすることは避け、データ消失のリスクを減らすことが大切です。
単体で電源を入れない
HDDを取り出してHDD単体でPCに接続することは避けましょう。なぜなら、RAIDに構成されているHDDはRAID専用の内容に書き換えられているため、データを読み取ることは不可能だからです。さらに、RAID10を構成するHDDとして機能しなくなる可能性もあります。
RAID10のデータ復旧を行う方法
RAID10に障害が起きてしまった場合に復旧するには、これから紹介する2つの方法があります。どちらを利用するか、慎重に考え、自身に適した方法を利用しましょう。
データ復旧ソフトを使用
データ復旧ソフトは、HDDの論理的な障害を修復し、データを復旧させるものです。安価で購入でき、手軽に利用できる半面、障害を悪化させるリスクもあります。また、物理障害には対応していないため、障害の判別が難しい時にはデータ復旧ソフトの使用は控えた方が良いでしょう。
データ復旧業者に依頼
データ復旧サービス業者は、ソフトと違って物理障害にも対応でき、ソフトと比べて復旧率が高いです。自分で復旧する場合と比べて費用が高くなるというデメリットはありますが、データを確実に復旧させたい場合は、復旧業者に依頼をするのがおすすめです。
まとめ
RAID10は、他のRAIDレベルに比べて、読み込みの速度や耐障害性に優れており、データの保存・読み込みに適しています。また、物理障害や論理障害によって故障してしまっても、データ復旧業者に頼めば、高い確率でデータを復旧できます。RAID10の障害は、悪化してしまうまで素人には気づきにくい場合が多いです。取り返しがつかないことになる前に、ぜひ一度専門家へ相談してみてください。