法人向けのサーバーやNASなど幅広い場所で使用される機会のあるRAID1は「RAID」の種類の1つです。RAIDはその種類によって特徴やメリット・デメリットが異なってくるため、RAID1がどういうものなのか、他の種類のRAIDと何が違うのか疑問に思っている方もいるかと思います。
そこで、この記事ではRAID1の概要からメリットやデメリット、他のRAIDとの違いなどについて詳しく解説していきます。RAID1に発生する障害やデータ復旧が必要になった際の復旧方法についても触れているので、RAID1について気になることがある人はぜひ参考にしてみてください。
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RAID1(ミラーリング)とは?
そもそも、RAIDとは「Redundant Array of Inexpensive Disks」の頭文字を取った言葉で、複数のHDDやSSDといったストレージを仮想的に1つのHDDとして扱う技術のことを指しています。
RAID1はそんなRAID方式の1つで、ミラーリングとも呼ばれています。その名の通り複数のHDDに鏡写しのように同じデータを記録することで、冗長性が高くなり1つのHDDが故障してしまっても他のHDDに記録されているデータを参照できるようになっています。
RAID1のメリットやデメリットについてはこの後詳しく解説していきます。
RAID1のメリット
RAID1のメリットは大きく分けて下記の2つがあります。
- 冗長性がある
- 耐障害性が高くなる
冗長性がある
「障害発生時にシステムが停止することなく稼働し続けること」をシステムの冗長性と呼んでいます。RAID1は先ほど説明した通り複数のHDDに同じ内容を書き込んでいるため、仮に1つのHDDが故障しても残りのHDDに記録されている同一データのおかげでシステムの稼働が止まることがなく冗長性が確保されているのです。
耐障害性が高くなる
RAID1は、2台以上のHDDを仮想的に1つのストレージとして使用するため、HDDの台数が増えるほどに障害に対する安全性が高くなっていきます。例えば、HDD3台を使用してRAID1を構成した場合、HDD2台が何らかの原因で故障してしまったとしても、残りの1台が無事であれば問題なく稼働を続けることが可能となります。
RAID1のデメリット
冗長性と耐障害性が高いRAID1ですが、デメリットも存在しています。RAID1のデメリットは大きく分けて下記の4つがあるので、それぞれ詳しく解説していきます。
- データの書き込みに時間がかかる
- 容量の利用効率が下がる
- HDDの故障に気づきにくい
- 運用コストがかかる
データの書き込みに時間がかかる
RAID1では複数のHDDに同じデータを記録する仕組み(ミラーリング)のため、1台のHDDにデータを記録する場合と比べて時間がかかってしまうというデメリットがあります。HDDの数を増やすことで耐障害性が高くなる一方で、データの記録にかかる時間は長くなってしまいます。
容量の利用効率が下がる
RAID1は同じデータを複数台のHDDに記録するという仕組み上、HDDの数を増やしたからといって使用できる容量が増えるわけではないという点もデメリットとして挙げられます。例えば、1TBのHDD2台を使用してRAID1を構成した場合でも、使用できる最大容量は1TBとなり利用効率が半分になってしまうのです。
ちなみに、別のRAIDの種類であるRAID0では、1つのデータを複数のHDDに分割して記録するという仕組みであるため、1TBのHDD2台を使用した場合、最大容量の2TBを使用することが可能となります。
HDDの故障に気づきにくい
RAID1では、冗長性が確保されているため1台のHDDが故障してもそのままシステムを稼働し続けることが可能ですが、一方で障害が発生していたり故障していることに気づきにくいというデメリットもあります。特に、NASなどに使用されているHDDは、同じタイミングで作られているケースが多いため、1台が壊れたということは残りのHDDも故障の一歩手前となっているケースがあります。RAID1に使用されているHDDが全て壊れてしまうとアクセスすることができなくなってしまうので注意が必要です。
運用コストがかかる
RAID1では複数台のHDDを使用する必要があるため、運用コストがかかってしまうという点もデメリットの1つといえるでしょう。例えば、1TBの容量が必要な場合に、通常のHDDを使用するだけなら1台分の費用がかかるだけですが、RAID1で使用する場合は少なくとも2台分の費用が必要になってしまいます。
RAID1はバックアップではないので注意!
仕様上、同じデータを複数のHDDに記録しているためRAID1を運用することでバックアップが可能になると思っている人もいるのではないかと思いますが、厳密にはバックアップではないので注意が必要です。
例えば、RAID1内にある必要なデータを誤って消してしまった場合や上書をしてしまった場合、接続されているすべてのHDD内のデータが削除や上書をしてしまったデータで更新されてしまいます。
1台のHDDが故障してしまった場合などは正常に動いている他のHDDからデータを戻すことが可能ですが、誤操作などで消してしまったデータなどはすぐに復旧することができないため、RAID1をバックアップ目的で使用するのは避けるようにしましょう。
また、大事なデータが消えてしまうのを防ぐためにも、定期的にRAID1内のデータを外付けディスクやクラウドサービスなどにバックアップしておくことも大切です。
RAID1のデータ復旧方法4選
ここからは、故障や誤操作でRAID1に入っている大切なデータが消えてしまった際の復旧方法を4つ紹介していきます。
RAID1のリビルド(再構築)を行う
RAID1のリビルド(再構築)とは故障した1台のHDDを交換して、他の正常に動いているHDD内のデータを交換した新しいHDD内にコピーする作業のことをいいます。ここで注意が必要なのが、壊れたHDDだけでなく正常に動いているHDDも一緒に交換する必要があるという点です。
これは、基本的にRAID1で使用されているHDDはすべて同じタイミングで製造されているケースが多いため、1台が壊れた場合、他のHDDも壊れかけている可能性が高いためです。
リビルドを行うことによるリスク
リビルドは壊れたRAID1を復旧させる方法の1つではありますが、手順を誤ってしまうとかえって症状が悪化してしまうケースがあります。例えば、壊れたHDDのみを交換して、正常に動いているHDDを交換せずにリビルドを行ってしまうと、途中で正常に動いているHDDも故障してしまいリビルドに失敗する場合があります。
正しいリビルド方法
メーカーによって多少異なる部分もありますが、基本的なRAID1のリビルド方法は下記の通りになります。
- 機器の使用をすぐにやめる
- 正常に動いているHDDのデータをバックアップする
- すべてのHDDを新しいものに交換する
- バックアップデータを新しいHDDに移す
先ほどもお伝えした通り、手順を間違えるとリビルドに失敗するケースもあるため、不安な場合は自力での復旧は避けてデータ復旧の専門業者に依頼するなど別の方法を探すようにしましょう。
ホットスペアの交換を行う
RAID構成の冗長性を高めるために用意する予備のHDDのことを「ホットスペア」と呼んでおり、このホットスペアを交換することでRAID1に障害が発生しても復旧を行うことが可能になります。ただし、ホットスペアはあらかじめ設定しておかないと意味がなく、RAID1が故障してからでは遅いので、故障に備えてあらかじめ用意しておくことが大切です。
市販のデータ復旧ソフトを使用する
RAID1の復旧方法の3つ目は市販のデータ復旧ソフトを使用するという方法です。ただし、こちらは基本的にはあまりおすすめすることはできません。というのも、RAID1に発生する障害にはいくつかありますが、自分で間違ってデータを消してしまった場合を除けば、基本的にはHDD本体が故障しているケースがほとんどだからです。市販のデータ復旧ソフトで対応できるのは、データを消してしまったケースやフォーマットを行ってしまったケースなどの論理障害のみで、HDD本体が故障している物理的な障害には対応できないので注意しましょう。
データ復旧業者に依頼する
RAID1のデータ復旧方法の4つ目はデータ復旧の専門業者に依頼するという方法です。データ復旧業者はデータ復旧に関する専門知識と経験が豊富にあるため、最もデータ復旧成功率の高い方法となります。そのため、仕事などで使用している大切なデータの復旧を行う際には、データ復旧業者への依頼がおすすめです。
ただし、データ復旧業者は多数存在するため、いくつかの業者を比較したり口コミを参考にしたりして、信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
おすすめのデータ復旧業者については次の項目で紹介しているので、選ぶ際の参考にしてみてください。
おすすめのデータ復旧業者3選!
ここでは、RAID1のデータ復旧を依頼するのにおすすめの業者を紹介していきます。
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RAID1と他のRAIDとの違い
RAIDにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。代表的なRAIDには「RAID0」「RAID5」「RAID6」「RAID10」などがあるので、RAID1との違いを見ていきましょう。
RAID0との違い
RAID0はストライピングとも呼ばれ、RAID1が同じデータを複数のHDDに記録するのに対して、RAID0は1つのデータを複数のHDDに分散して記録する仕組みとなっています。
RAID0はデータを分散しているため、HDDが1つでも壊れてしまうとデータにアクセスすることができなくなるというデメリットがあり、冗長性や耐障害性が低くなっています。一方で、HDDの容量を最大限利用できたり、処理速度がRAID1よりも早くなるというメリットがあります。
RAID5/RAID6との違い
RAID5はデータを分散して保存しつつ、冗長コードであるパリティと呼ばれるものを一緒に生成するという仕組みになります。HDDが最低でも3台必要になるため、導入コストがRAID1よりも高くなってしまうというデメリットがありますが、データの読み書き速度が速く、HDD1台の故障であれば通常通りに稼働を続けられるメリットがあります。また、HDDを増設することで使用容量を増やすことも可能です。
また機能性は同じですが、生成するパリティデータを2つにすることで、より安全性を高めたRAID6というものもあります。
RAID10との違い
RAID10は「RAID1」と「RAID0」を組み合わせて作られた仕組みで「RAID1+0」とも呼ばれています。RAID1とRAID0の良い所取りがされており、RAID1よりも保存容量が大きくデータの読み書きも高速で出来るのに耐障害性も高くなっています。
ただし、RAID5よりも容量の使用効率は若干劣っており、搭載するHDDが最低でも4つは必要になってしまいます。
RAID1のデータに障害が発生した際の注意点
ここからは、RAID1のデータに障害が発生した際の注意点について詳しく解説していきます。
通電を続けたり再起動を繰り返さない
RAID1のデータに異常が発生したときに最も大切なのは、それ以上状況を悪化させないことです。一度再起動を行ってみるくらいなら基本的に問題ありませんが、通電や再起動は機器に負担がかかってしまうため、何度も繰り返したりするのは控えるようにしましょう。
フォーマットを行わない
RAID1に障害が発生している際に、画面に「フォーマットをしますか?」といったメッセージが表示されるケースがあります。この時、画面の指示に従ってフォーマットを行うとHDD内のデータがすべて初期化されてしまうので絶対に避けるようにしましょう。
知識がない場合はリビルドを行わない
RAID1のトラブルはリビルド(再構築)を行うことで復旧できる場合がありますが、専門知識がない場合はなるべく行わないほうがよいでしょう。リビルドはRAID1で使用しているHDDを新しいものに交換してバックアップデータを入れて元に戻す作業のことをいいます。ただし、手順を間違えてしまったり、リビルド中にHDDの障害が悪化してしまうと失敗してデータが取り出せなくなる可能性があるため注意が必要です。
自力で分解やHDDの交換を行わない
RAID1に搭載されているHDDが物理的に壊れている際に、自力で分解して修理したり交換をするのも避けたほうがよいです。特に、HDDは精密機器で内部にホコリが少し入るだけでも壊れる危険性があるため、分解はクリーンルームと呼ばれる部屋で行うのが一般的です。症状の悪化を防ぐためにも、自力での分解はやめておきましょう。
HDDを単体でPCに繋がない
HDDをRAID1から取り外し、単体でPCに接続しても中のデータを確認することはできません。新しいPCにHDDを接続したことによりフォーマットが求められ、表示の通りに実行してしまうと内部のデータが全て初期化されてしまうため絶対に避けるようにしましょう。
RAIDカードの交換を行わない
RAIDカードを交換することでRIAD1の不具合が直る可能性もありますが、こちらも専門知識が必要となるため安易には行わないほうがよいでしょう。特に、互換性のないカードに交換してしまうと、RAID構成が壊れてしまったり症状が悪化する恐れがあります。正しく動作するRAIDカードを探す手間もかかってしまうため、大切なデータが入っている場合はなるべく専門業者に依頼することをおすすめします。
RAID1でよく発生するトラブル
RAID1でよく発生するトラブルには下記のようなものが挙げられます。
- RAIDが起動しない
- HDD内のデータが消えた・上書きしてしまった
- 共有フォルダにアクセスができなくなった
- 異音が発生した
- RAID崩壊が発生した
- エラーメッセージが表示された
これらの症状が発生した場合、HDDが故障しているケースが多いので、それ以上作業を続けると症状が悪化してしまうことが多いです。仕事で使用しているデータが入っているRAID1が故障してしまったら焦って色々触ってしまうこともあるかと思いますが、基本的にはそれ以上操作をするのをやめて専門業者に相談をするようにしましょう。
RAID1の機器が壊れたりデータが消えてしまう原因
RAID1の機器が壊れたりデータが消えてしまう代表的な原因は下記の5つになります。
- 誤操作によるデータ消去や設定ミス
- HDDやSSDの経年劣化
- RAID機器を落としたことによる部品の損傷
- 落雷や水没による故障
- 高温の部屋で使用したことによる熱暴走や部品の劣化
- RAIDコントローラの故障
RAID1のデータが消えたり壊れたりする原因は大きく「論理障害」と「物理障害」に分けられます。誤操作によるデータ消去や設定ミスは「論理障害」に該当し、HDDの経年劣化や落雷・水没といったHDDの物理的な破損は「物理障害」に該当します。
誤操作によるデータ消去や設定ミス
RAIDの設定を誤って変更してしまった場合や間違えてフォーマットを行なってしまうとデータにアクセスできなくなったりRAID1内のデータが全て消えてしまうことがあります。またRAID1の場合、複数のHDD内に同じデータが存在していますが、データを上書きしたり消したりすると接続されているHDD全ての情報が書き換えられてしまいます。
HDDやSSDの経年劣化
RAID1に接続されているHDDやSSDなどの記録ディスクには寿命があり、経年劣化によって部品が故障するとある日突然壊れてしまいます。使い方にもよりますが、HDDで約3~4年、SSDで約5年程度が寿命と言われており、データの読み書き数が多いとより早く寿命を迎える可能性があります。
また、ほとんどのケースでRAID1に使用されているHDDは全て同じタイミングで製造されているため、1つのHDDが故障した場合残りのHDDも寿命が近づいている可能性が高いでしょう。
RAID機器を落としたことによる部品の損傷
HDDやSSDは精密機器であるため、衝撃を与えてしまうと内部の部品が損傷してしまい動かなくなることがあります。特に、NASを高いところから落としてしまうと破損のリスクが高くなるため、なるべく高いところや不安定なところには置かないように注意しましょう。
落雷や水没による故障
落雷や水没などもRAID1機器が故障する原因の1つになります。落雷や停電による影響でRAID1にうまく電力が供給できなくなるとRAID1のメリットである冗長性がうまく発揮されず、データの損失に繋がることがあります。また、停電後の復旧も操作手順を誤ることでうまくRAIDが起動しなかったり、負荷がかかることにより故障してしまうケースもあります。
他にも、津波などによる浸水や、火災が発生した時のスプリンクラーの水が内部に入って故障してしまうというケースも考えられます。
高温の部屋で使用したことによる熱暴走や部品の劣化
RAID機器を夏場で気温の高くなった部屋で使い続けると、熱暴走を起こして故障してしまうことがあります。冷房を使って部屋の温度を下げることで対応しているケースも多いと思いますが、停電が発生して冷房が止まってしまい部屋が暑い状態などになってしまうと予期せぬ熱暴走を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
RAIDコントローラの故障
RAIDのシステムを管理しているRAIDコントローラーが故障することで、データの整合性が取れなくなったり冗長性が取れなくなってRAID1に不具合が発生することもあります。RAIDコントローラーの故障は、ファームウェアの不具合によって発生するケースが多く、ファームウェアのアップデートやリビルドによって解決することもありますが、RAID1の不具合の原因がRAIDコントローラー以外にある場合は解決することができません。
この場合、かえって症状を悪化させてしまうこともあるので、原因が特定できないうちは個人の判断で作業を行うのは控えた方が良いでしょう。
RAID1のデータが消えるのを防ぐ方法
RAID1に保存していたデータが消えてしまうと、仕事に支障が出たり復旧するのに費用がかかってしまいます。最後に、RAID1のデータが消えるのを防ぐために普段からしておいた方が良いことを紹介していくので、事前に把握してトラブルを防ぐことができるようにしておきましょう。
定期的にバックアップを取っておく
RAID1は冗長性が確保されている一方でバックアップ機器ではないため、定期的にデータを別の記録メディアにバックアップしておくことが非常に重要になります。バックアップ先は外付けHDDやクラウドなど様々なものがあるので、自身に合ったものを選ぶようにしましょう。
HDDやSSDに異常がないか定期的にチェックする
RAID1に使用しているHDDやSSDに異常がないかはRAID1のユーティリティによって確認することが可能です。確認方法はメーカーによって異なるため、説明書を確認するか、自身が使用しているRAID1のメーカー名や品番などで調べるようにしましょう。
異常を検知してくれるNASを使用する
NASの中にはHDDやSSDに異常が発生している場合に知らせてくれる機器も存在しています。異常が発生していても早い段階であれば復旧成功率は高くなるので、こういった機能を搭載しているNASの導入を検討してみてもいいかもしれません。
まとめ
RAID1とはミラーリングとも呼ばれるRAIDの種類の1つで、1つのデータを複数のHDDに同時に記録することにより冗長性を高めています。耐障害性が高くなる一方で、データの書き込みに時間がかかったりコストがかさんでしまうといったデメリットも存在しています。RAID1はHDDの経年劣化や熱暴走、RAIDコントローラーの障害など様々な理由で故障する可能性があるため、定期的にバックアップを取っておくことが大切です。
もし、RAID1機器が壊れてしまった場合、リビルドやデータ復旧ソフトを使用することで直る可能性もありますが、失敗のリスクも高いため、可能ならそれ以上操作をするのは避けてデータ復旧の専門業者に依頼するようにしましょう。